どうも、TURN UP会長です。
今日はね、キックボクシングの話じゃなくて、相撲の話をさせてください。
「え、何で?」って思いますよね。わかります。でも聞いてください。僕ね、相撲が好きなんです。いや、「好き」じゃ足りない。ものすごく好きなんです。特に時津風部屋が。
これ、うちのジムのスタッフもあんまり知らんねんけど(笑)、バーのカウンターで一人で飲みながら相撲中継見てるときの僕が、たぶん一番幸せです。
「なんで時津風部屋やねん」問題
よく聞かれるんですよ。「会長、なんで時津風部屋なんすか? 横綱が多い出羽海とか宮城野とかじゃないんですか?」って。
いやいやいや。それは違う。
時津風部屋をたどると、あの双葉山に行き着くんです。第35代横綱・双葉山定次。大分出身のこの人が1945年に「時津風部屋」を作った。これを知った瞬間から、もう僕の中で時津風部屋は別格なんです。
双葉山って何した人か知ってますか?
69連勝です。
69連勝ですよ!?
格闘技やってる人間として、これがどれだけヤバい記録か、想像してみてください。僕らの世界でも10連勝したら「強い!」って話になる。それを69回ですよ。しかも今も破られていない。昭和の話ですよ?
70連勝目の夜の「木鶏」
で、ここからが僕が最高に好きな話なんですけど。
昭和14年(1939年)1月。70連勝をかけた一番で、双葉山は安芸ノ海に敗れるんです。69でストップ。
普通の人だったら、どうなりますか?悔しい、悲しい、落ち込む。それが普通じゃないですか。
ところが双葉山はその日の夜、知人に電報を打つんです。たった一言——
「われ未だ木鶏たりえず」
「木鶏」というのは中国の故事で、木彫りの鶏のように微動だにしない、完全に無心の境地に達した最強の状態のこと。双葉山は69連勝を止められた夜に、「僕はまだ木鶏の境地に達していなかった」と自分を戒めたわけです。
もうね、これ、ぶっ飛びますよね。
69連勝して負けて、「僕はまだまだや」って言える人間が、いったいどれだけいるんですか。
僕なんて試合で負けたら「あいつの肘が当たったんや」とか「体調が悪かった」とか、言い訳の一つや二つ頭に浮かぶのに(正直に言います)、この人は自分の未熟さだけを見てる。
格闘技の本質って、これやと思うんですよね。
「稽古は本場所のごとく、本場所は稽古のごとく」
双葉山が時津風部屋に残した言葉があります。
「稽古は本場所のごとく、本場所は稽古のごとく」
これ、僕がTURN UPで伝えたいことと、ほぼ同じなんですよ。
練習は本番だと思ってやれ。本番は練習だと思って落ち着いてやれ。
あとね、双葉山は「心技体」じゃなくて「心気体」を強調してたんです。「技」より「気」を先に置いた。気持ち・精神が全てに先行するという考え方。これも格闘技の師匠として、ものすごく腑に落ちる話なんです。
現役の時津風部屋、応援してます
歴史の話ばっかりしてたら「お前、相撲評論家か」ってなるんで(笑)、現役の話もします。
今の時津風部屋で僕が特に注目してるのは時疾風(ときはやて)秀喜関。宮城県出身、2024年に幕内初土俵、2026年3月場所では東前頭9枚目まで番付を上げてきた。体は大きくないけど、技の切れが鋭い。これから楽しみな力士です。
あと正代(元大関)も時津風部屋の関取。一度大関まで上り詰めた人が、また這い上がろうとしている姿に、格闘技人として胸が熱くなります。頂点を知ってる人間の執念というのは、また別のものがありますよ。
相撲と格闘技、結局おんなじやと思う
相撲ってね、土俵という4メートル55センチの円の中で、二人の人間がぶつかり合う競技です。ルールはシンプル。相手を押し出すか、倒すか。
キックボクシングもそうです。リングという空間の中で、技術・体力・精神力の全てを出し尽くす。
どちらも「一対一で向き合う」という本質は変わらない。逃げられない。言い訳できない。自分の全てが、そのまま結果に出る。
だから僕は相撲が好きなんだと思います。格闘技者として、あの土俵に立つ力士たちに親近感を覚える。
中でも時津風部屋は、双葉山という「心気体」を体現した男が作った部屋。その精神が今も受け継がれていると思うと、応援せずにはいられないですよね。
「木鶏たりえず」の精神でジムに立つ
僕もね、キックボクシングで2冠を獲って、「ああ、僕は強くなったな」と思った瞬間があったんです。
でも双葉山を知ってから、その傲慢さが恥ずかしくなった。69連勝した人間が「われ未だ木鶏たりえず」と言っているのに、僕ごときが何を言うてるんやと。
今でも、指導者として選手に向き合う時、練習の後に一人で自分を振り返る時、この言葉が頭をよぎります。「僕はまだ木鶏たりえてるか?」と。
お酒片手に相撲中継を見ながら、双葉山に問われ続けている感じがするんですよね(笑)。
はい、そんな感じで、会長の相撲漫談でした。
次の本場所、一緒に時津風部屋を応援しましょう。お酒を持って(笑)。